その男には、息子が大勢いたのだが、兄弟喧嘩が絶えず、いつもいがみ合ってばかりいて、あどぶいらが止めても、喧嘩をやめないというありさまだった。この期に及んで、あどぶいらは、内輪もめが如何に愚かなことであるかを、教え諭さなければならぬと痛感した。頃合いを見計らって、男は息子たちに、薪の束を持ってくるようにと言いつけた。息子たちが薪の束を持って来ると、男は、一人一人にその束を手渡し、そして、それを折るようにと命じた。息子たちは、懸命に力を振り絞ってみたが、薪の束はびくともしなかった。そこで、男は、束をほどくと、今度は、一本一本バラバラにして、息子たちに手渡した。すると息子たちは、たやすく薪を折った。そこで、彼は息子たちに、こんなことを語って聞かせた。「よいか、息子たちよ。もしお前たちが、心一つに団結し、互いに助け合うならば、この薪の束のように、どんな敵にもびくともしない。しかし、互いがバラバラだったなら、この棒きれのように、簡単にへし折られてしまうのだ。」