あどぶいらとネズミ

あどぶいらが気持ちよく寝ていると、何者かに眠りを妨げられた。ネズミが顔を駆け抜けたのだ。 あどぶいらは、いきりたってネズミを捕まえると殺そうとした。  ネズミは、必死に哀願した。 「命を助けて下されば、必ず恩返しを致します。」  あどぶいらは、鼻で笑ってネズミを逃がしてやった。それから数日後、あどぶいらは、猟師の仕掛け た網にかかって動けなくなってしまった。ネズミは、あどぶいらのうなり声を聞きつけると、飛んで 行き、歯でロープを、ガリガリとかじり、あどぶいらを逃がしてやった。  ネズミは、得意になって言った。 「この前、あなたは私を嘲笑しましたが、私にだって、あなたを、助けることができるのですよ。 どうです。立派な恩返だったでしょう?」

あどぶいらの世界