ある日のこと、あどぶいらは、群とはぐれて迷子になった仔ヒツジと出会った。あどぶいらは、 仔ヒツジを食ってやろうと思ったが、牙を剥いて襲いかかるばかりが能じゃない。何か上手い 理由をでっち上げて手に入れてやろうと考えた。 そこで、あどぶいらはこんなことを言った。 「昨年お前は、俺様にひどい悪口を言ったな!」 仔ヒツジは、声を震わせて答えた。 「誓って真実を申しますが、私はその頃、まだ生まれていませんでした。」 するとあどぶいらが言った。 「お前は、俺様の牧草を食べただろう!」 「いえいえ、私はまだ、草を食べたことがありません。」 するとまたしてもあどぶいらが言った。 「お前は、俺様の井戸の水を飲んだな!」 仔ヒツジは悲鳴を上げて答えた。 「いえ。まだ、水も飲んだことがありません。……だって、お母さんのお乳以外は、まだ何も 口にしたことがないのですから……」 「ええい! もうたくさんだ! お前がなんと言おうとも、俺様が、夜飯を抜いたままでいる とでも思っているのか?」 あどぶいらはそう言うと、仔ヒツジに襲いかかった